中古マンションを購入し、自分らしい空間にリノベーションするという暮らしの人気が高まっています。しかし、マンション特有のルールや制限があるのも事実。今回は、安心してマンションリノベーションの第一歩を踏み出すための基礎知識をご紹介します。
リノベーション計画に必須!専有部分と共有部分の理解

専有部分
マンションにおいてリノベーションの対象となるのは、「専有部分」のみです。専有部分とは、住戸の内側で、居住者が個別に使用・管理できる空間を指します。具体的には、内壁や天井、床の内側、キッチンや浴室、間仕切りなどが該当します。ただし、マンションによって個別の制限がある場合があるので、管理規約を確認しながら、どこまでが自由に変更可能かを把握しましょう。
共有部分
「共有部分」とは、マンションの全居住者が共同で使用・維持する箇所を指します。たとえば、エントランスホールや廊下、階段、エレベーターといった共用設備に加え、玄関扉の外側、さらには窓サッシやバルコニーの床面なども含まれます。これらは住戸の外観や安全性に直結するため、個人の判断でリノベーションすることはできません。
リノベーションでどこまで自由に変えられる?

マンションリノベーションでは、住戸内部を自分好みの間取りや内装に一新することが可能ですが、自由度には限りがあります。専有部分であっても、構造体に関わる柱、梁、壁の撤去は出来ません。また、水まわりの移設も、排水経路や勾配の確保といった技術的制約があるため、慎重な検討が必要です。リノベーションは「どこまでできるか」だけでなく、「何ができないか」にも目を向けることが大切です。経験豊かな専門家とともに、現実的で美しい住まいづくりを目指しましょう。
リノベーション前に必ず確認すべきポイント
工事申請書
マンションでのリノベーションには、管理組合への「工事申請」が必須です。これは、工事内容がマンション全体のルールに沿っているかどうかを審査するためのものです。また、申請の内容や提出時期は管理組合ごとに異なるため、事前の確認が不可欠です。さらに申請が受理されるまでには一定の期間がかかるため、スケジュールには余裕を持つことが大切です。
管理規約
マンションの「管理規約」は、その建物における生活のルールブックとも言える存在です。リノベーションにおいても、施工できる範囲や施工時間のほかに、使用できる資材の種類まで細かく定められていることがあります。規約に反した工事は、工事中止や原状回復を求められることもあり、トラブルの原因になりかねません。必ず事前に熟読し、建築会社にも共有しましょう。
竣工図(しゅんこうず)の確認
「竣工図」とは、建物が完成した際の構造や設備の配置を正確に記した設計図面です。リノベーションでは、この図面をもとに、壁や配管、電気配線の位置を把握し、無理のない設計を行うことが求められます。もし竣工図が手元にない場合は、管理組合や不動産会社に問い合わせてみましょう。的確な図面の確認が、リスクを避ける第一歩となります。
中古マンションのリノベーションは、古い建物であっても自分らしい暮らしを作ることができる素晴らしい方法ですが、基本的なルールや制約を理解することが必須です。下準備を怠らず、信頼できるパートナーと共に計画を進めましょう。正しい知識が、理想の空間への第一歩となるのです。