希望のエリアに比較的手の届きやすい価格で暮らせる選択肢として、マンションリノベーションという家づくりが注目を集めています。こうした背景をふまえ、今回は、自分たちの暮らしに寄り添う間取りとは何かを見つめながら、マンションリノベーションにおける間取り設計の工夫とその魅力をご紹介いたします。
マンションの間取りは画一的?

マンションの間取りは、建築時の設備配置や構造上の制約、そして汎用性の高さを優先して設計されることが多く、その結果、どのプランも似通った間取りになる傾向があります。たとえば、「〇LDK」という定型的なスタイルに代表されるように、部屋数や動線、収納の配置はある程度パターン化されており、万人にとって無難ではあるものの、個々の家族の暮らしに寄り添うものとは言い難いのが実情です。
そうした課題を解決する手段として、マンションリノベーションには大きな可能性が秘められています。家族構成や暮らしのリズム、趣味、そして将来のライフステージまでも見据えた住まいは、リノベーションだからこそ、真に自分たちらしい形として実現できるのです。
デザインだけなく快適性も重視した間取りのリノベーションとは?

美しい住まいは、ただ見た目が整っているだけでは真の快適さを提供できません。リノベーションにおける間取りのポイントは、視覚的なデザイン性と同時に、「住み心地の質」を高める工夫が求められます。たたとえば、朝日が心地よく差し込む寝室の配置や、回遊性のある家事動線、プライバシーを守りながらも家族の気配を感じられる緩やかなつながりなどは、暮らしに寄り添った設計といえるでしょう。
また、近年では将来的なライフスタイルの変化にも対応できるよう、可変性のある空間づくりが注目されています。可動式の間仕切りや、多用途に使える「余白」のあるスペースなど、住まいが時間とともに進化する設計は、住まいの在り方を見直すきっかけになるかもしれません。
マンションリノベーションで風の通り抜ける住まいを

マンションでの暮らしにおいては、風通しや採光に不満を抱える方も少なくありません。しかし、間取りの工夫次第で、自然の恵みを取り込む住まいへと生まれ変わることができます。
たとえば、廊下を減らして空間をひとつながりにすることで、窓と窓を結ぶ風の通り道を確保することができます。また、木製の建具や通気性のよい素材を取り入れれば、空気の循環がよりスムーズになり、湿気やにおいのこもらない、清潔で健やかな環境が実現します。こうした間取りの工夫は、目に見えない心地よさを暮らしにもたらし、日々の営みをより豊かなものにしてくれるでしょう。
マンションリノベーションにおける間取りの考え方は、単なる間仕切りの変更ということではありません。住まいが単なる箱ではなく、家族の豊かな暮らしのステージとして機能するような、住み心地を大切にした空間づくりが、そこにはあります。