冬の朝カーテンを開けると、窓辺にびっしりと浮かぶ水滴。この窓辺の掃除から一日がスタートするという日課にうんざりしている人も少なくないでしょう。「結露」と呼ばれるこの悩ましい現象を、リノベーションによって、解決することは十分に可能です。ここでは、住まいの根本を見つめ直す、快適な暮らしへのヒントをご紹介します。
なぜマンションは結露しやすいのか

鉄筋コンクリート造で気密性の高いマンションは、断熱性にも優れているという誤解が多いのですが実は違います。特に築年数が経過した中古マンションでは、もともと断熱材が十分に施工されていない場合が多く、サッシもガラスが単層であることが原因で、結露が発生しやすい環境が整ってしまっているのです。見た目の不快感だけでなく、カビの発生や建材の劣化を引き起こすこともあり、健康や資産価値にも悪影響を与えるため、早期の対策が重要です。
結露問題を根本から解決するリノベという選択

表面だけに施す応急処置ではなく、住まいの構造や設備にまで踏み込んで見直す「リノベーション」は、結露の根本的な解決に向けた最も有効な手段です。適切な断熱材を施工する、樹脂製の内窓を設置、調湿性のある内装材の採用など、多角的なアプローチによって、室内環境を整えることが必要です。マンション特有の制約を理解し、的確な設計力を持つ工務店と共に進めることで、快適な毎日へと生まれ変わる住まいを手に入れることができます。
断熱改修
結露対策の基本となるのが、住まいの断熱性能の向上です。外気との温度差を緩和することで、結露のリスクを減らします。築古マンションの場合、壁や天井の内側に断熱材を新たに施す「内断熱改修」が主流です。断熱改修には、乾式工法と湿式工法の二種類があり、間取りや現場の状況によって最適な選択をすることが重要です。
二重サッシ
窓は結露の最も顕著な発生ポイント。そこで効果的なのが「二重サッシ」の設置です。既存の窓の内側にもう一枚、樹脂製などの断熱性に優れたサッシを追加することで、外気との接触を最小限に抑え、温度差による結露を防ぎます。既存の窓をそのまま活かせるため、比較的手軽に取り入れやすく、コストパフォーマンスの高いリノベーションの一手として人気を集めています。
通風を考えた間取り
空気が滞ることで湿気がこもり、結露の一因となることも。そこで重要なのが、風の流れを意識した間取りの工夫です。リノベーションでは、既存の壁を取り払って開放的な空間をつくることで、自然な通風を確保することが可能になります。また、引き戸や室内窓を採用して、視線と風が抜ける設計にすることで、空気が常に動く住まいが実現できます。
結露という現象の背景には、空間が持つ性能の本質的な問題が潜んでいます。マンションでの暮らしを根本から見直すことで、より快適で健やかな毎日が手に入ります。住まいのあり方を整えることは、人生の質をも高める一歩となるでしょう。